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令和7年度 下半期スタートのご挨拶

更新日: 2025年10月1日


令和7年度 下半期スタートのご挨拶


今夏は過去最高と言われるくらいの酷暑の日々が続きましたが、秋分の日を過ぎた時点で、一気に肌寒い日々が到来し、夏から秋への季節の移行を感じる事なく、突然に秋を迎えたという感がしました。早いもので、令和7年も既に9ヶ月が過ぎ、今年も残すところあと3ヶ月を切っています。

少数与党の石破政権も、結局は約1年という短命政権で終わりました。比較的リベラルな石破氏に色々と期待していた人も多かった様ですが、ほとんど期待外れに終わってしまったという1年間でした。石破政権が始まった1年前は、諸物価高騰のために国民の生活が苦しいと感じていた頃ですが、さらにトランプ関税が加わり、インフレも加速したために、国民生活はさらに苦しくなった上半期であったように思います。10月上旬の自民党総裁選挙で誰が総裁に選ばれても、若者の自民党離れは根強いため、自民党の長期低落は続いて行くように思います。そして、国民の生活は楽にはならないのだろうなあと、少し諦めの境地になっています。中国の景気が衰退した事に関連して、日本の株式が買われ平均株価は最高値を更新していますが、この事は決して日本の景気が良くなったからではない事は肝に銘じておく必要があります。日本の景気はアメリカファーストであるトランプ劇場の影響が強くて、不安が募るばかりです。

ところで、公立・公的病院が存続の危機に陥っている事を、皆さんはご存じでしょうか?昨今のニュースによりますと、2024年度の決算で全国自治体病院の86%が赤字経営、全国国立大学病院の70%以上が赤字を出しているとの事です。北陸中央病院は2024年度までは何とか9年連続で黒字経営を続けて来ましたが、今年度(2025年度)は上半期を終えた時点で残念ながら赤字に転落しています。これからの下半期に、かなりの成果を上げないと10年連続の黒字を出すのは困難な状況です。このような事態に陥っている原因は色々と挙げられていますが、その第1は2024年に改定された診療報酬が実質的に大幅なマイナス改定になっている事が挙げられます。病院は患者さんを診療し、それに対して報酬を得る事が主な収入源になっているのですが、国民皆保険制度の日本では診療報酬は公定価格となっています。その肝心の診療報酬が世の中の物価上昇に反比例して、実質マイナス改定であったために、収入額が支出額に全く追い付かず、医療の分野は今、赤字経営が常態化しているというのが現状です。第2は人口減少に伴う患者数の減少が挙げられます。昨年、富山県の人口がついに100万人を割り込みましたし、小矢部市の人口も27,897人にまで減少しています。それに伴って、北陸中央病院の入院・外来患者数もここ数年は減少を続けており、この事は病院の収入減に大いに繋がっています。第3は繰り返しになりますが、諸物価高騰が挙げられます。病院が購入する薬品や医療機器は全てが値上げされていますし、公共料金やスタッフの賃金も全てアップし、病院の支出は年々増加する一方であるのに、収入源である診療報酬は実質マイナス改定のために、病院が黒字を出すのは至難の業となっています。2025年度の上半期において、病院の倒産数は過去最多を記録したと報道されています。倒産によって、地方の病院が無くなって適切な治療をすぐに受けられなくなるといった地域医療の崩壊の危機が、身近な問題として迫っています。地域医療については、社会インフラの一部(警察や消防などと同等)と位置づけし、経済的な支援を行わなければ、維持できない経営構造であると思っています。

学術面では、小矢部市民に健康を啓発する目的で開催している当院主催の「小矢部市民健康フォーラム」ですが、R7年度のフォーラムは2026年3月7日(土)にクロスランド小矢部・セレナホールで開催を予定しています。テーマについては、決まり次第お知らせ致します。多くの小矢部市民の皆様に現地でお会いできる事を楽しみにしています。一方、ケーブルテレビでは今年度も毎月第4週目の月曜~日曜の1週間、健康サポート番組の放送を継続しています。色々な分野の医療情報を当院スタッフや開業医の先生方が分かりやすく解説しますので、こちらも是非ご覧頂けたらと思います。

私事で恐縮ですが、私は来年3月末に、70歳の定年退職を迎える予定となりました。北陸中央病院に赴任して16年、病院長になって14年という長い年月が経過しました。小矢部市住民の皆さんや公立学校共済組合の先生方に支持されて、長く病院長を務めさせて頂きました。ただただ、皆様に感謝の念しかありません。「老兵はただ消え去るのみ」という諺がありますが、私としては皆様へのご恩返しとして、来年4月から非常勤ではありますが、週2日間だけ診療を続けさせて頂こうと考えています。二刀流である呼吸器外科と肛門外科を中心に、手術を含めた外科診療を続けたいと思っています。何か皆様のご要望があれば、遠慮なくご意見を頂ければ幸甚です。R7年度下半期も北陸中央病院は、地域・職域の医療を守って行く所存です。患者さんにとって、訪問しやすい敷居の低い病院となれるように、職員一同頑張って行きます! 今後とも、北陸中央病院をよろしくお願い申し上げて、本稿を終わらせて頂きます。
                                                (令和7年10月1日)